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  • 執筆者の写真株式会社デジタルベースキャピタル

【実施報告】第1回長崎ブルーエコノミーMeetupを開催

2022年11月16日



はじめに

70年振りに漁業法が改正され水産業は大きな転換点にあります。今年3月に閣議決定された「水産基本計画」では、大きく三つの柱が示されました。


1)水産資源管理の推進

2)養殖や輸出拡大など成長産業化

3)漁村を軸とした地方創生


改正漁業法でも推進される「資源管理」の推進によって当面は漁業の総量が規制されていくことになります。漁獲に依存しない生産シフトとしての養殖業の拡大や、海外輸出の強化、漁業に留まらない海面利用を通じた地方創生など根本的な構造改革による水産業の成長化シフトが始まっています。


海面、海洋の活用による水産業の持続可能な成長産業化は「ブルーエコノミー」と呼ばれています。水産業というと「高齢の漁師さんが船に乗って魚を獲る」というイメージが一般にはあるかもしれません。


海を活用する産業は多岐にわたります。造船、海運といった海事産業もその一つです。多額の資本が必要となり、環境負荷に対しても取り組みが急務のため、当該領域ではブルーフィンテック、ブルーカーボンといった取り組みも注目されています。


また、「海業(うみぎょう)」も水産基本計画で示された重要なキーワードです。海業は、漁港を起点として漁村、周辺地域の活性化をあらゆる海洋、地域資源を活用しながら地方創生を目指そうとする取り組みです。


ブルーエコノミー、海業は海面、海洋をフル活用しながら成長化を目指す。その中でも多様なステークホルダーとの連携、オープンイノベーションの推進が鍵となっていきます。



ブルエーエコノミー先進地域「長崎」で初開催


長崎県はブルーエコノミー推進地域として産官学が連携して取り組みを行う注目される地域です。長崎県は漁業生産量が北海道に次いで全国2位。同じく海岸線の長さも北海道に次いで2位、漁獲される魚種の種類については全国1位と水産業がとても盛んな地域です。


一方で、大手造船産業の撤退などもあり、長崎市は人口流出で全国ワースト1位、県内に全国唯一で上場企業がゼロという状態で、基幹となる水産業の成長化、一層の産業化はまさに長崎全体の課題と言えます。

今年9月には西九州新幹線が開通し、新たな人流、物流がもたらされ今後への期待も高まっています。


そのような状況の中で、わが国としてブルーエコノミー、海業を推進していく中で、地域に根差した取り組みが重視される中、長崎県でブルーエコノミーエコシステムを構築すべく今回のイベントが企画されました。


【開催概要】

名称:第1回長崎ブルーエコノミーMeetup

目的:長崎県のブルーエコノミーエコシステムと県内外の知見、人的交流の共有

日時:2022 年 11 月 4 日(金)18:00-22:00(開場 17:30)

場所:ダイアゴナルラン長崎

https://diagonal-run.jp/nagasaki/

対象者:水産、ブルーエコノミービジネスに関心のある個人、法人

主催:一般社団法人ブルーエコノミー推進協議会設立準備委員会、ながさき BLUE エコノミー、ダイゴナルラン長崎

後援:株式会社デジタルベースキャピタル、Find Fish`s Future Project、NAIGAICREW、長崎県、長崎市


今回は来春設立するコンソーシアムが主催となり、長崎県の皆様と連携して開催となりました。



長崎ブルーエコノミーの産官学のプレーヤーが集結


イベントの開会にあたり株式会社デジタルベースキャピタル シニアパートナー 地方創生統括の服部守親氏より開会挨拶をさせていただきました。



会場には長崎県のブルーエコノミー、水産関係の産官学の皆様約40名にお集まりいただき熱気が溢れていました。会場提供頂いた「ダイアゴナルラン長崎」は、福岡フィナンシャルグループの皆様が運営するコワーキング施設で、東京八重洲や福岡にあります。長崎では十八親和銀行の皆様が同施設を運営し水産のみならず長崎スタートアップシーンの貴重なコミュニティの場となっていました。


水産業の変革に挑む4社がピッチ登壇


イベントではまず初めに、水産業、ブルーエコノミーに取り組むスタートアップの皆様がピッチ登壇を行い、一社10分間で事業紹介を実施しました。


一社目は船団漁業者向けに運航管理、漁業管理SaaSを提供してる新藤氏が登壇。全国各地の漁業者が活用している「ISANA」というプロダクトについてご紹介頂きました。経験や勘に頼ることが多かった漁業の世界にテクノロジーを導入した取り組みに来場者は関心を寄せていました。


続いて二社目はWeb3×ブルーエコノミー事業に取り組むJPYCの岡部氏が登壇。JPYC社は国内でも注目されるWeb3スタートアップで、日本初の日本円に連動されたステーブルコイン「JPYC」を発行しています。同社は今年ブルーエコノミー事業への参入を発表し、国内でも珍しい「ブルーエコノミー推進室」を設置しました。代表の岡部氏は東京都の青ヶ島に移住しており、青ヶ島を起点にした水産業における金融機能とweb3事業の連携を推進しています。今後、漁業協同組合や水産加工業組合といった既存の仕組とWeb3を活用した新たな仕組みの構築に取り組んでいます。



続いで登壇した杉村氏はJPYCと同様にWeb3×水産業に取り組み国内でも珍しいスタートアップです。NFTをはじめとしたWeb3×地方創生の事例は近年増加しており、活用が今後も期待されます。杉村氏は「若手牡蠣の会」という全国の生産者コミュニティを立ち上げ運営しています。様々な課題を抱える牡蠣の生産者たちが連携し、ECやSNSを活用した販路拡大などに取り組んでいます。


中でもNFTを活用した牡蠣の販促、ファン獲得のためのプロモーション活動は水産業のみならずIT業界からも注目を集めてます。NFTの所有者に対して牡蠣をプレゼントしたり、限定キャンペーンを実施するなどして牡蠣バリューチェーンの新たな形を作っています。



最後に登壇されたのは長崎の地元スーパー「ジョイフルサン」を展開するジョイフルサンアルファの久保井氏です。久保井氏は、ジョイフルサン、地元漁協、飲食店、十八親和銀行といった複数事業者から構成されるオープンイノベーションプロジェクト「おさかなサブスク」事業を立ち上げています。魚種日本一の長崎は一方で未利用魚が多いことも課題でした。そこで、冷凍技術などにも工夫を加えて、長崎の新鮮で様々な魚を月額制で冷凍定期配送する事業を立ち上げています。


4社それぞれの取り組みは様々な視点から水産業の成長化に寄与するものばかりです。そして、漁業者のみならず多様な人材や技術、アイディアを活用して事業を立ち上げられており参加者からも大きな関心が寄せられていました。



大学も積極的にコミュニティ作りに貢献


全国の大学には水産、水産関連学部がある大学も少なくありません。中でも長崎県は、長崎大学がブルーエコノミー、水産業成長化に向けた取り組みを積極的に行っています。

「ながさき BLUE エコノミー次世代養殖の構築について」と題して国立大学法人長崎大学 海洋未来イノベーション機構 コーディネーター 室越章氏に基調講演を実施いただきました。


長崎大学では、ブルーエコノミーの人材育成や事業化支援にも積極的に取り組み、現在では養殖産業の拡大に向けた取り組みを強化しています。長崎発でブルーエコノミーを推進すべく、海外輸出を含めた水産バリューチェーンの変革に取り組んでいます。今後より多くの民間企業の参入、スタートアップの増加によって連携が期待されます。



ブルーエコノミー推進におけるオープンイノベーションの必要性


最後にピッチ登壇者、さらにゲストを迎えて、長崎県、さらには我が国日本においてブルーエコノミー、水産業成長化に向けた現状と今後について議論しました。

トークセッション「ブルーエコノミー推進におけるオープンイノベーション」


<パネリスト>

・株式会社ジョイフルサンアルファ 執行役員 新規事業企画室 室長 久保井成正氏

・国立大学法人長崎大学 海洋未来イノベーション機構 コーディネーター 室越章氏

・株式会社十八親和銀行 総合企画部 ビジネス開発グループ 部長代理 伊藤純氏

・株式会社ライトハウス代表取締役 新藤克貴氏

・JPYC株式会社代表取締役 岡部典孝氏

・合同会社 WaterGate 杉村尚紀氏

<モデレーター>

株式会社デジタルベースキャピタル 代表パートナー 桜井駿氏



水産業における様々な業種、制度に構造的な課題があり、生産者の高齢化や、若手の新規参入が少ない中で危機的な状況にあることは共通認識でした。地域によっては変化や、新たな取り組みに抵抗感があることも少なくありません。これまでも水産業の成長化、構造改革に取り組む動きが無かったわけではないものの、その多くは一部の当事者、漁業者のみで人材が不足していました。


成長産業化に向けては様々な視点、技術、経験をもった人材、企業との連携が必要不可欠になります。生産者にとっては明日、来月の売上や経営状況が大切ですが、一方で中長期のロードマップを描き施策を推進するプレーヤーも必要です。


ブルーエコノミーは言い換えればオープンイノベーションであり、多種多様な人材、企業が水産業や海洋活用に関心を持ち参入することが重要だということで議論が白熱しました。



飛び込みでピッチ企業が参画


当日プログラムにはなかったのですが、2社飛び込みでピッチ登壇がありました。


PUKPUKUは今年設立された長崎大学発ベンチャーです。飲食事業者などが手軽に始められる移動型養殖施設事業の立ち上げをしています。他にも海洋ゴミ問題に取り組むなど、海の課題に向き合う事業を大学と連携しながら進めています。



飛び込みピッチ二社目は、長崎県茂木町で「茂木バレー構想を推進する茂木氏です。綺麗な海が広がる茂木町で、イノベーション推進に向けた人材育成、ワーケーション支援の拠点作りを行っています。地元施設をリノベーションした飲食店、宿泊施設を展開し、漁村地域での滞在モデルを構築しています。これは政府が推進する海業における「渚泊(なぎさはく)」と呼ばれる事業で、漁村の古民家や施設を活用した地域活性化事例は今後も拡大が期待されます。



ネットワーキングも地産地消


イベントのコンテンツがすべて終了し、参加者同士によるネットワーキングを開催しました。ネットワーキングのフード、ドリンクはダイアゴナルラン様からのご提供です。

当日のフードはおさかなサブスクで提供している長崎のおさかな、料理者は長崎の地元で飲食店を経営しおさかなサブスク事業にも参画しているF・デザインNAGASAKI様の提供です。

当日は提供された魚や、養殖・加工業を行う地元生産者の皆様にもご参加頂き、ご挨拶頂きました。



懇親会は十八親和銀行 副頭取 大庭 真一氏に乾杯挨拶を頂きました。長崎をさらに盛り上げて行くために地域金融機関としても今後積極的に支援していきたいと心強いメッセージを頂きました。


終わりに


長崎県でのイベント開催は関係者、来場者の皆様のおかげで無事に終了することが出来ました。特に印象的だったのは一次産業、水産業において強力な産官学コミュニティが長崎に醸成されていることです。長崎県、長崎市の自治体の皆様は企業誘致やスタートアップ支援を行う商工部の皆様、水産業の成長支援を行う水産課、水産センターの皆様にお越し頂き大変盛り上がりました。水産業の成長化には、自治体、官庁のリーダーシップが不可欠です。長崎には官においても志を持ってオープンイノベーション推進に取り組む方が多く、今後もコミュニティの拡大が期待されます。








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