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  • 執筆者の写真桜井駿 Shun Sakurai | 株式会社デジタルベースキャピタル

日本初ブルーエコノミースタートアップマップを公開

2022年12月9日 株式会社デジタルベースキャピタル

ブルーエコノミースタートアップマップ
掲載または取下げ希望は問合せフォームよりお願いします

はじめに


水産ビジネス領域は大きな転換点を迎えている。2018年、70年振りに漁業法が改正された。大きな変更点として「持続的」という文言が追加され、科学的根拠に基づく資源管理漁業の推進、成長産業化に向けた新規参入の要件緩和などが盛り込まれた。


さらに今年3月に閣議決定された水産庁水産基本計画では柱として次の3つが掲げられた。


  1. 水産資源管理の推進

  2. 養殖や輸出拡大など成長産業化

  3. 漁村を軸とした地方創生


基本的にはデータの収集・活用をきちんと行いながら、生産(獲って売るのみではなく育てて販売する)漁業へシフトし、全国の資源を活用しながら地方創生を推進していく、という事が明記されている。


今後複数回の連載で本分野におけるマップの詳細な解説や用語解説、トレンド予想についてお届けする。


本記事では、「水産業だから自分には関係ないかも」という方にこそ読んで欲しい。特にフィンテック、web3、さらには地方創生を担う自治体や地域金融機関、地方で起業を目指す方にはぜひ読んで欲しい。むしろそういった方々の力を今まさに必要としている業界だからだ。


筆者はフィンテックを起点にして産業変革、規制改革を軸にしたスタートアップ投資、大手企業向けアドバイザリー業務に従事している。縁あって昨年より水産分野のプロジェクトにも従事することとなった。昨年は水産庁広域漁業調整委員会(太平洋、日本海、瀬戸内海の3委員会)へ参考人出席、今年は水産庁遊漁船業の在り方検討会委員に就任し政府議論にも参加している。


全国各地のステークホルダー(漁業者、漁協、自治体、地域金融機関、大学、省庁)と対話し訪問する中で得たのは大きな機会と課題の現状であった。




ブルーエコノミースタートアップマップを公開


弊社では産業変革のキープレーヤーとして「スタートアップ、起業家」を最重点項目としている。先行したフィンテックがそうであったように、エンドユーザーや業界にとってより良い変革には「人材」が不可欠だ。規制緩和や投資マネーの後押しだけでは新たな事業は生じない。新規参入を伴うスタートアップの絶対的な数の増加と、成長支援が当該産業変革においては鍵になると考えている。


この度、弊社では水産業に関与するスタートアップの調査を実施した。下記のルールに基づき調査、マップ掲載を実施している。マップへの掲載希望や取下げ、カテゴリ相違などについてはお手数ですがこちらから連絡頂きたい。



カテゴリの定義


ブルーエコノミーは、海洋経済圏における環境活動や成長産業化の取り組みを総称して指すことが多い。弊社では、以下の定義としている。


ブルーエコノミーとは:海洋海面を持続可能な形で事業推進する取り組みの総称


ブルーエコノミースタートアップとは:ブルーエコノミー領域において成長を目指すベンチャー企業、スタートアップ企業


ブルーエコノミーが対象とする業界について、大きく下記の3つを軸としている。

  • 海事産業:海運、造船、船用工業(市場規模約8.3兆円 ※2021年国土交通白書)

  • 水産業:漁業、養殖業(漁業産出額1.3兆円 2020年農林水産省)

  • エネルギー:風力発言、ブルーカーボン

上記カテゴリにおいては、業務プロセスにDXを活用するプロダクト、データ収集や分析を提供する特化型SaaS、IoTやロボティクスの活用など多岐にわたる。



スタートアップマップへの掲載


本マップは、「ブルーエコノミー領域においてどの領域にどのようなビジネスモデルでどの程度スタートアップ企業が存在しているか」を可視化する目的で作成している。

おおよそ以下の基準で調査、掲載を実施している。

  • 創業から業歴10年以内の法人

  • 外部調達を実施するなど早期の成長を目指すスタートアップ型の経営(一部大手企業らによるJV、共同出資企業なども掲載)

  • サービス、プロダクト名ではなく企業名を掲載

  • カテゴリを横断して複数のプロダクト、サービス群を展開する企業についてはメインと推察される事業分野に企業名をマッピング


ブルーエコノミー領域の盛り上がりを体温計として計測するためには、スタートアップ、起業の数がその指標の一つになると考えているため、サービス、プロダクトを可視化したマップではない点にご留意いただきたい。


今後はカテゴリをより細かく細分化してサービス、プロダクト群をマップすることも予定している。



ブルーエコノミーにおける機会と課題


来年2023年はブルーエコノミー元年になると筆者は予想している。漁業法の改正や水産基本計画、海洋基本計法に基づく海洋基本計画など関連法においては、DXの推進、スタートアップの参入促進、オープンイノベーションによる支援を本格的に後押しする環境が整いつつある。


また、世界的な脱炭素、カーボンニュートラルの取り組みにおいて海洋資源の注目は高まる中で、四方を海に囲まれる我が国においてはブルーエコノミーイノベーション国家としてのポテンシャルも期待される。


今年9月には自民党に「海業(うみぎょう)」専門部会が設置され、第一回会合が開かれた。海業については別の記事でも詳細を記載するが、ブルーエコノミーとは明確に定義が異なる。

海業は、漁港、港を起点として港そのものや周辺の海洋海面資源を活用して漁村を軸とした地域活性化に取り組むものである。


ブルーエコノミーがより広いトレンド的概念であるとすれば海業はより具体的かつ地域密着の取り組みを指す。

間違ってもブルーエコノミーの日本語呼称ではないため、ブルーエコノミーと海業は全く別のキーワードとして理解する必要がある。


港と言っても我が国においてその種類は二つに大別できる。漁港漁場整備法によって水産庁が管轄する「漁港」は全国2,780にのぼる。港湾法で国土交通省が管轄する「港湾」は全国993存在する。

海業が対象とする港は前者の漁港を指しており、港湾は別途国土交通省でも先行して様々な取り組みを推進している。



ステークホルダーの多様性確保が急務


ブルーエコノミー、水産業成長化において大きな課題となるのが「ステークホルダーの多様性の確保」である。


水産業も漁業法で規制される規制産業であり。その構造は金融業界や不動産業界と変わらない。しかしながら、業法を専門に扱う弁護士、士業の数や、大学、自治体、地域金融機関、さらにはスタートアップといったプレーヤーが中長期で議論を行い、成長投資を行う土壌は現時点ではあまり形成がされていない。


特に「海洋」と一言に言っても監督官庁や担当部署、地方自治体で役割が細かくわかれており、「成長産業化」という横串で推進する体制は現時点で整備されていない。筆者は水産庁を軸とした「ブルーエコノミー推進室」の設置を提言しているが、金融庁におけるフィンテック室のような横断的役割を持った機能、人材の配置が政府は急務と言える。


全国各地を訪問すると民間主導で素晴らしい水産業成長化に向けた取り組みが創発されている一方で、中央と地方、民間と公共、スタートアップと大企業、といった交わるべき点が交わっていない。


そういった課題から、筆者らは水産事業者はもちろん水産業以外の大手企業、金融機関、大手弁護士事務所、スタートアップ、大学、自治体らで構成される産官学によるブルーエコノミー推進協議会(仮称)を来春設立する。本コンソーシアムの最大の目的はステークホルダーの多様性確保とオープンイノベーションの推進である。


水産バリューチェーン変革、海業観光、養殖DX、養殖ファイナンス、web3といった各分科会で個別論点整理と課題抽出、事業者マッチングを実施する。本記事で公開したマップ制作についても今後はコンソーシアム内で調査、制作していくことを予定している。こちらも興味がある事業者の方はぜひ問合せフォームからご連絡いただければ幸いである。



おわりに


本記事は今後連載でブルーエコノミー領域におけるスタートアップの事業機会、政策課題、キーワード解説などをお届ける。数十年振りの法改正、世界的なサスティナブル分野への投資拡大、日本における地方創生の取り組みと、スタートアップの創業タイミングが重なり一つの産業として確立されるフェーズに移行していると言える。


弊社では、各地域金融機関と連携して本領域におけるスタートアップ支援、地域における創業支援を今後積極的に行っていく予定である。


ひとりでも多くの方に関心を持っていただき協業などの機会があれば幸いである。






弊社デジタルベースキャピタルではブルーエコノミー領域の取り組みを強化して推進しています。ご関心のある方はぜひお気軽にこちらからご連絡ください。担当より順次ご連絡させていただきます。


・ブルーエコノミーマップへの掲載、取下げ希望

・ブルーエコノミー領域における情報交換、ディスカッション

・来春設立のコンソーシアムについてのお問合せ

・ブルーエコノミー領域での起業、会社設立相談

・本マップに関する取材、講演などのご依頼


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